相似な行列の特性多項式

前回のエントリーで相似について触れましたが、ある行列AとBが相似である場合、互いの特性多項式は一致することが分かっています。すなわち、Aの特性多項式\phi_{a}(t)、Bの特性多項式\phi_{b}(t)とすると、
\phi_{a}(t) = \phi_{b}(t)
であり、したがって、AとBの固有値(と特性根)が一致します。つまり、どんな基底をとっても、線形変換の表現行列が持つ固有値は変わらないということです。

証明

B = P^{-1}APを満たす正則行列をPとすると、
tE - B = P^{-1}(tE)P - P^{-1}AP = P^{-1}(tE - A)P
|tE - B| = |P^{-1}(tE - A)P| = |P^{-1}||tE - A||P|
となりますが、この時
|P^{-1}| = \frac{1}{|P|}
なので、
|tE - B| = |P^{-1}||tE - A||P| = |tE - A|
となります。よって、
\phi_{a}(t) = \phi_{b}(t)

対角化との関係

上の定理の結果は行列の対角化と関係してきます。対角化については後日書きたいと思いますが、もしもある行列Aが対角行列Bと相似である場合、必然的にAとBの固有値が一致することになります。よってここから、AとBが相似である、つまり対角化可能であるためには、これまで何度も出てきた次の関係式
B = P^{-1}AP
を満たす正則行列Pが存在するかどうかが鍵になると分かります。